『落第賢者の学院無双』1巻は、大賢者エフタルが400年後へ再転生し、「無適性」のまま再び魔導の頂を目指す物語です。スクウェア・エニックス マガジン+1
前世の圧倒的な知識を持つのに、未来では魔法の才能なしと判定される――。第1話「スキル:再転生」から第3話「一族の恥さらし」までを追うと、この逆転構造がどう作られたのかが見えてきます!
『落第賢者の学院無双』1巻のあらすじは?400年後へ二度目の転生

『落第賢者の学院無双~二度目の転生、Sランクチート魔術師冒険録~』の主人公は、かつて大賢者として名を残したエフタルです。
スクウェア・エニックスのコミックス1巻公式紹介によれば、エフタルはもともと現代から異世界へ転生した人物。そこで人生のすべてを魔導研究へ注ぎ込み、大賢者と呼ばれるほどの実力へ到達しました。スクウェア・エニックス マガジン
ところが、そんな彼にも越えられない壁がありました。
それが魔術への「適性」です。
2026年放送のTVアニメ公式第1話紹介では、エフタルは魔王討伐を成し遂げ、最強魔導士の称号「四皇」の一人である「雷神皇」にまで上り詰めながら、晩年になって自分が魔術適性を持たない「無適性」だという事実を突きつけられたことが説明されています。落第賢者の学院無双 公式サイト
つまり、弱かったから絶望したわけではありません。
誰より高くまで登ったからこそ、自分には届かない領域があると知ってしまった。
これがエフタルの悲劇です。
努力を重ね、魔王討伐まで成し遂げ、それでもなお魔導の頂には届かない。
その後、エフタルは無念を抱えたまま人生を終えます。
しかし物語は、そこで終わりません。
それから400年後。
エフタルは前世で身につけた魔術の知識と力を携えたまま、二度目の転生を果たします。スクウェア・エニックス マガジン+1
ところが、目覚めた未来はエフタルの知っていた世界とはまるで違っていました。
魔法文明は大きく衰退し、かつて彼が研究によって身につけた魔法は、400年後の人々から見れば「奇跡」と呼べるほど高度なものになっていたのです。落第賢者の学院無双 公式サイト
普通の転生作品なら、ここで「昔の最強魔術を使って無双!」となるでしょう。
もちろん本作にも、その爽快感はあります。
しかし1巻を面白くしているのは、エフタルが未来で突然チート能力を与えられたわけではないことです。
400年前に人生を削って身につけた技術が、文明の衰退によって結果的に“規格外”になった。
この順番が重要なんですよね!
だからエフタルにとって、400年後の人々を驚かせること自体はゴールではありません。
一度目の人生で届かなかった「魔導の頂」。
そこへ今度こそ到達することが、二度目の人生を動かす目的になります。
1巻では何が起こる?第1話から第3話まで時系列で解説
マンガUP!公式ページでは、序盤のエピソードとして第1話「スキル:再転生」、そして第3話「一族の恥さらし」が確認できます。第1話は複数チャプターに分割されて掲載されており、第3話も「一族の恥さらし(前編)」として配信されています。マンガUP!
1巻の物語を理解するなら、設定だけを並べるよりも、エフタルの立場がどう変化していくのかを順番に追うのが分かりやすいです。
大きな流れは次の3段階です。
- 第1話「スキル:再転生」:大賢者エフタルが人生を終え、400年後の世界へ二度目の転生を果たす
- 第2話「魔法適性」:未来の魔法文明と自分の「無適性」を知り、それでも魔導を諦めない
- 第3話「一族の恥さらし」:オルコット公爵家の中で母イリアとともに蔑まれ、ヨアヒムとの対立へ発展する
この3話を通して描かれているのは、単なる「最強賢者の再スタート」ではありません。
最強だった男が、400年後の社会では“魔術師に向かない少年”として評価されてしまうまでの過程なんです。
第1話「スキル:再転生」――大賢者の後悔から二度目の人生へ
物語の出発点は、エフタルの「成功」ではなく「挫折」です。
前世のエフタルは魔王討伐を果たし、「雷神皇」の称号を持つほどの大魔術師でした。落第賢者の学院無双 公式サイト
周囲から見れば、とっくに魔術師としての頂点へ到達したような人物です。
ところが本人はそう思っていません。
自分に魔術適性がない以上、努力だけでは越えられない才能の壁が存在する。
その事実を知ったエフタルは、「これ以上、魔導の頂へ進めない」という絶望を抱えることになります。落第賢者の学院無双 公式サイト
ここで覚えておきたいのは、エフタルが無適性だから弱いわけではないことです。
むしろ逆。
無適性にもかかわらず、雷神皇と呼ばれるところまで自力で登ってしまった人物なんです。
しかしエフタル自身が求めているのは、周囲から「最強」と褒められることではありません。
あくまで魔導そのものの頂。
だからこそ、世間的には成功者でありながら、本人にとっては悔いの残る人生になりました。
そして400年後。
エフタルは再び生を得ます。
前世の記憶だけでなく、それまで築き上げた魔術の知識を携えた再出発です。コミックス1巻公式も、この二度目の転生と「魔術の知識と力をそのままに生まれ変わる」ことを物語の核として紹介しています。スクウェア・エニックス マガジン
この時点で、エフタルには明確な目標が生まれます。
今度こそ魔導の頂へ到達する。
1巻全体を動かしているのは、この執念です。
第2話「魔法適性」――7歳のエフタルが知る400年後の現実
再転生したエフタルは、少しずつ自分が置かれた状況を理解していきます。
同じ序盤を描いたTVアニメ公式第2話紹介では、再転生から3年が経過した時点でエフタルは7歳になっており、そこで自分が生きていた時代から400年後の世界にいると認識しています。落第賢者の学院無双 公式サイト
「再転生から3年なのに7歳?」と数字だけを見ると少し戸惑いますよね。
ここは「赤ん坊として生まれた瞬間から3年」という意味ではなく、物語上で再転生を自覚した時点から時間が進み、7歳になったエフタルの状況が描かれている、と捉えると流れを理解しやすいでしょう。
そして彼を待っていたのは、400年という年月そのものより衝撃的な現実でした。
魔法文明の衰退です。
かつてエフタルにとって研究対象だった高度な魔術が、未来では失われた技術に近い扱いになっています。公式紹介でも、彼の魔法は400年後では「奇跡」の領域になったと説明されています。落第賢者の学院無双 公式サイト
ところが、これでエフタルの人生が順風満帆になるわけではありません。
彼自身の「無適性」は、二度目の人生でも変わっていなかったからです。
400年後の社会では、魔法適性が進路を判断する重要な基準になっています。
そのためエフタルは、高度な魔術を扱える実力を持ちながらも、無適性だから魔法学院へ進むのは難しいと判断され、士官学校への進学を勧められていました。落第賢者の学院無双 公式サイト
ここで本作ならではのねじれが完成します。
読者は、エフタルが雷神皇だったことを知っている。
エフタル本人も、自分がどれほど魔術を使えるのか知っている。
それなのに400年後の社会だけが、「無適性=魔術には向かない」と判断する。
実力と社会的評価が真逆なんです。
そんな状況でも、エフタルは魔導を諦めません。
異母兄フレイザーが使った魔法を軽々と再現し、自分が400年後の基準では測れない存在であることを少しずつ示していきます。アニメ版では、フレイザーがその力を見たうえで、大柄な男モーリアを特別コーチとして連れてくるところまで描かれています。落第賢者の学院無双 公式サイト
私は、この第2話が1巻の中でも特に重要だと考えています。
なぜなら、ここで初めて「400年前の最強魔術師」と「400年後の落第候補」という二つのエフタルが重なるからです。
かつては才能不足に苦しんだ男。
未来では、その才能不足を理由に進路まで制限される少年。
しかし実力だけを見れば、周囲の常識から完全にはみ出している。
タイトルにある「落第賢者」の意味が、ここから一気に効いてくるんですよね!
第3話「一族の恥さらし」――母イリアへの侮辱とヨアヒムとの模擬戦

1巻の物語がさらに熱を帯びるのが、オルコット公爵家での対立です。
エフタルの母はイリア。
兄にはフレイザーがいる一方、オルコット公爵家には異母兄ヨアヒムも存在します。
第2話までの段階では「無適性だから進路を制限される」という制度上の問題が中心でした。
しかし第3話では、「無適性」が人間の価値そのものを低く見る材料として使われていることが、より露骨に描かれます。
同じ序盤を映像化したTVアニメ公式第3話紹介によれば、エフタルは父であるオルコット公爵との初めての面会を許されます。落第賢者の学院無双 公式サイト
ようやく父と会える。
本来なら、家族としての関係が動き出す場面に思えますよね。
ところがそこでエフタルに命じられたのは、異母兄ヨアヒムとの模擬戦でした。
しかも、純粋な実力確認ではありません。
アニメ公式では、妾腹の子であるエフタルと、無適性である母イリアを見下すための「見せしめ」という悪意があったことが明示されています。落第賢者の学院無双 公式サイト
つまりヨアヒムとの模擬戦は、ただの兄弟対決ではないんです。
それまでエフタルを苦しめてきた「無適性だから下」という価値観が、人間関係の形となって目の前に現れた瞬間です。
さらにヨアヒムは、エフタルだけでなく母イリアへの侮辱まで重ねます。落第賢者の学院無双 公式サイト
ここでエフタルの態度が変わります。
自分自身が無適性と呼ばれること以上に、支えてくれた母が傷つけられることを許せない。
雷神皇として生きた記憶を宿す少年の怒りが、ついに表へ出てくるのです。
この場面によって、エフタルの強さには初めてはっきりした「守るための力」という意味が加わります。
魔導の頂を目指すことは、基本的にはエフタル自身の夢です。
しかしヨアヒムとの衝突では、その力が母イリアの尊厳を守るためにも向けられる。
ここが1巻後半の重要な変化だと私は感じます。
そして物語上さらに面白いのが、ヨアヒムの存在そのものです。
ヨアヒムたちは400年後の価値基準でエフタルを評価しています。
「無適性なら劣る」。
だから見下せる。
しかし読者は、その目の前にいる少年がかつて雷神皇と呼ばれた人物だと知っています。
この登場人物の認識と読者の認識の差が、模擬戦の緊張感と爽快感を一気に高めているんです!
エフタルはなぜ「無適性」なのに強い?400年前と400年後の評価の違い
『落第賢者の学院無双』1巻を読んで最も気になりやすいのは、「魔法適性がないのに、なぜエフタルは強いのか」という点でしょう。
結論から言えば、魔法適性と、エフタルが前世で身につけた魔術の知識・技術は別物だからです。
前世のエフタルは無適性でした。
それでも人生を魔導研究へ注ぎ込み、魔王討伐を成し遂げ、「雷神皇」の称号を得るほどの実力へ到達しています。落第賢者の学院無双 公式サイト
つまり、適性がないから魔術を使えない人物ではありません。
適性という才能には恵まれなかったものの、研究と経験によって圧倒的な技術を築いた人物です。
さらに二度目の転生後には、400年という時間差が加わります。
エフタルが必死で身につけた400年前の魔術体系に対し、未来では魔法文明そのものが著しく衰退しています。スクウェア・エニックス マガジン+1
その結果、評価はこう逆転します。
視点 エフタルの評価
400年前の本人 雷神皇まで到達したが、無適性ゆえ魔導の頂には届かなかった
400年後の社会制度 無適性なので魔術師向きではない
400年後の実戦能力 失われた高度な魔術を扱える規格外の存在
エフタル本人 周囲より強くても満足せず、さらに魔導の頂を目指す
この4つの評価が一致していないことこそ、本作の面白さです。
よくある無双ものでは、「実はすごい能力を授かっていました」という形で主人公の強さが説明されます。
エフタルの場合は少し違います。
彼の最大のアドバンテージは、400年前に積み上げた魔術体系を、知識ごと未来へ持ち越していることにあります。
言い換えるなら、「強いキャラクターでニューゲーム」ではありません。
何十年も攻略法を研究した熟練プレイヤーが、攻略情報の大部分が失われた世界で、経験を保持したままニューゲームを始めた状態に近い。
これなら400年後で規格外になるのも納得できますよね!
しかも本人は、自分を「完成した最強人物」だとは考えていません。
前世で届かなかった場所がある。
だから今より強くなる理由が残っている。
周囲から見れば最強級、本人から見ればまだ修行途中。
この認識差があるため、主人公が強すぎても物語の目的が消えません。
私はここが、『落第賢者の学院無双』の主人公設計で特に巧い部分だと思います。
オルコット家で見える「無適性」の意味とは?進路だけでなく身分評価にも影響
1巻を設定紹介だけで読むと、「魔法適性」はRPGのステータスのように見えるかもしれません。
しかし物語を時系列で追うと、もっと重い意味を持っていることが分かります。
第2話では、エフタル自身が無適性であるため、魔法学院への進学が難しいと判断されます。落第賢者の学院無双 公式サイト
つまり進路を左右する評価基準です。
そして第3話では、母イリアが無適性であることまで侮辱の材料にされます。落第賢者の学院無双 公式サイト
今度は家の中で人を見る基準として機能しています。
ここが重要です。
エフタルが戦っている相手は、ヨアヒムのような個人だけではありません。
「適性がなければ価値が低い」という、400年後の社会に根付いた物差しそのものです。
1巻の段階では、エフタルが社会制度を変えようと宣言するわけではありません。
そこは事実と私見を分けて考える必要があります。
ただ筆者としては、エフタルが高度な魔術を使えば使うほど、結果的にその評価基準の不完全さが露呈していく構造になっていると感じます。
無適性だから魔法学院へ行けない。
しかし魔法学院を勧められる者より高度な魔法を扱える。
無適性だから母イリアまで軽く見られる。
しかし同じ無適性だったエフタルは、400年前に雷神皇まで到達している。
この矛盾を、主人公の存在そのものが突きつけているわけです。
だから私は、「落第賢者」というタイトルの“落第”を単純な成績不振だとは捉えていません。
社会が使っている物差しでは落第。しかし実力を見れば、その物差しのほうが追いついていない。
1巻は、この構図を家庭と進路という身近な場所から作り始める巻なのだと思います。
『落第賢者の学院無双』1巻の見どころは?学院編前に描く「落第」の理由

タイトルに『学院無双』と入っているため、「1巻から学院へ入ってバトルを繰り広げる作品なのでは?」と思う人もいるでしょう。
しかし1巻の役割は少し違います。
中心となるのは、エフタルの前世、400年後への再転生、無適性という評価、そしてオルコット家での立場です。
つまり本格的な学院生活へ進む前に、なぜ最強級のエフタルが“落第側”として扱われるのかを描いているんです。
これは物語の助走としてかなり重要です。
何の前提もなく学院へ入り、強敵を倒していくだけなら、エフタルが勝つたびに「元・最強だから当然」で終わってしまいます。
しかし1巻では、その前に社会からの評価を下げています。
魔術適性がない。
魔法学院への進路を閉ざされる。
母まで無適性を理由に軽く見られる。
父との面会でも、ヨアヒムとの模擬戦という見せしめを用意される。
こうして読者の中に「エフタルの本当の実力を知らない側」と「知っている側」の差を作る。
そこまで積み上げてから実力を見せるから、逆転した瞬間が気持ちいいんです。
私はここに、単なるチート無双とは違う本作の強みを感じました。
もう一つ注目したいのは、400年後への転生が「主人公を強くするため」だけに使われていないことです。
400年の時間差によって、エフタルの技術の価値だけではなく、評価する側の常識まで変化している。
前世では、無適性でも雷神皇になれたエフタル自身が「まだ足りない」と苦悩していました。
ところが未来では、雷神皇だった人物が「無適性だから魔法学院には向かない」と評価される。
同じ人物なのに、時代と評価制度が変わるだけで立場が正反対になるわけです。
個人的には、この点が1巻で最も面白いところでした。
「主人公が400年後へ行ったから強くなった」のではありません。
エフタルはすでに強い。変わったのは、その強さを見る世界のほうです。
この視点を持って読むと、序盤の家族問題や進路問題まで、すべて「評価する物差し」という一本のテーマでつながって見えてきます。
『落第賢者の学院無双』1巻の基本情報は?2020年発売のコミックス第1巻
コミック版『落第賢者の学院無双~二度目の転生、Sランクチート魔術師冒険録~』は、原作・白石新先生、漫画・けんたろう先生、キャラクター原案・魚デニム先生による作品です。スクウェア・エニックス マガジン
スクウェア・エニックス公式書籍情報では、コミックス1巻は2020年1月31日発売。ガンガンコミックスUP!から刊行され、B6判、ISBNは「9784757564879」です。スクウェア・エニックス マガジン
項目 内容
作品名 落第賢者の学院無双~二度目の転生、Sランクチート魔術師冒険録~
原作 白石新
漫画 けんたろう
キャラクター原案 魚デニム
出版社 スクウェア・エニックス
1巻発売日 2020年1月31日
判型 B6判
ISBN 9784757564879
1巻の中心 再転生、400年後、無適性、オルコット家での対立
シリーズは1巻で終わっておらず、2026年7月7日にはコミックス第9巻が発売されました。第9巻では「雷神皇祭」を舞台にした戦いが描かれており、エフタルの物語が学院へ進んだ後も続いていることが分かります。スクウェア・エニックス マガジン
マンガUP!公式ページでも2026年8月11日現在、作品には「隔週金曜日更新」と表示され、第29話「無謀な挑戦 – ①」まで掲載情報を確認できます。マンガUP!
また2026年にはTVアニメ化され、公式サイトではエフタル役を梅田修一朗さん、イリア役を加藤英美里さん、フレイザー役を平川大輔さん、ヨアヒム役を伊藤健太郎さんが担当すると発表されています。落第賢者の学院無双 公式サイト
ただし、1巻のあらすじを知りたい読者にとって重要なのは、現在のアニメ情報よりエフタルの原点でしょう。
アニメから作品を知った人も、1巻へ戻ることで「なぜエフタルはこれほど魔導に執着するのか」「なぜ無適性なのに圧倒的な魔術を使えるのか」を整理できます。
派手な無双の裏側に、才能の壁へ一度敗れた男の後悔がある。
そこを知っているかどうかで、その後の戦いの見え方はかなり変わってくるはずです!
1巻を読んで分かる『落第賢者の学院無双』の本当の面白さを考察
ここからは、コミックス1巻の公式紹介と序盤の展開、そして同エピソードを描いたアニメ公式情報を踏まえた筆者の考察です。
私が1巻でもっとも評価したいのは、主人公を過小評価する理由が、世界設定の中に組み込まれていることです。
エフタルは弱くありません。
前世ですでに雷神皇まで到達しています。
それなのに未来では低く評価される。
なぜか。
理由は、400年後の社会が「魔法適性」を重要な判断基準にしているのに対し、エフタルの強さはその枠から外れているからです。
これを簡単に言えば、測る物差しが違うんです。
400年後の社会は適性を測っている。
しかしエフタルが持っているのは、400年前の膨大な知識、経験、研究成果です。
だから「無適性」という判定自体が間違っているわけではなくても、「無適性だから魔術師として弱い」という結論はエフタルには当てはまらない。
このズレがあるから、周囲の過小評価にも物語上の理由が生まれます。
そしてもう一つ面白いのが、エフタル自身は400年後で周囲を圧倒できることに満足していない点です。
彼が欲しいのは、「この時代で一番強い」という評価ではありません。
前世で届かなかった魔導の頂です。
ここが長期シリーズとして強い。
主人公が最初から周囲より圧倒的に強い作品では、「もう勝てるなら何を目指すの?」という問題が生まれがちです。
しかしエフタルには、自分より弱い相手へ勝つこととは別の目標があります。
400年前の自分を越える。
才能の壁を越える。
魔導の頂へ到達する。
だから周囲から見れば十分すぎるほど最強でも、エフタル自身の物語はまだ始まったばかりなんです。
そして1巻では、そこへ母イリアの問題が加わります。
エフタル一人が「俺は本当は強い」と証明するだけなら、個人的な名誉回復の物語です。
ところが母イリアまで無適性を理由に蔑まれていることで、エフタルの強さはもっと大きな意味を持ち始めます。
無適性でも雷神皇になれた人物が存在する。
その事実だけで、「適性が低い者=価値の低い者」という価値観は揺らぎます。
筆者としては、ここに1巻から先へ続く本作のテーマがあると考えています。
エフタルが覆していくのは敵だけではなく、400年後の世界が当然だと思っている“常識”そのもの。
アニメ公式イントロダクションでも、本作はエフタルが世界の常識を塗り替えていく物語として紹介されています。落第賢者の学院無双 公式サイト
1巻は、その常識がどれほどエフタルと噛み合っていないのかを見せる最初の巻なんです。
だから「学院」というタイトルなのに1巻では学院生活が中心ではないことにも意味があります。
まず家庭で評価されない。
次に進路で評価されない。
それでも実力を示していく。
この助走があるからこそ、のちにエフタルが魔法学院へ進んだとき、「落第扱いされる最強賢者」という構図が完成していくのでしょう。
私は1巻を、単なるプロローグとは思いません。
エフタルが何と戦う主人公なのかを決める巻です。
魔物だけではない。
強敵だけでもない。
「お前には才能がないから無理だ」という評価そのものと、400年越しでもう一度向き合う。
そう考えると、この再転生にはかなり熱い意味が込められています!
『落第賢者の学院無双』1巻はどんな人におすすめ?
1巻は、転生無双作品の中でも「主人公がなぜ強いのか」を設定から納得して読みたい人と特に相性がいいでしょう。
エフタルは、転生した瞬間にゼロから最強能力を与えられた人物ではありません。
前世で人生を魔導研究へ捧げ、雷神皇にまでなり、それでも才能の限界に絶望しています。
その失敗と経験を抱えたまま、400年後へ二度目の転生を果たします。
だからエフタルの圧倒的な魔術には、「昔から最強だったから」という一言では片づけられない背景があります。
一方で、1巻から学院内の大会や学園バトルを次々に読みたい人は、少し想像と違うかもしれません。
1巻はむしろ、
再転生。
400年後の世界の確認。
魔法適性。
家族との関係。
オルコット家内部での対立。
といった、その後の学院編を成立させる土台に力を入れています。
しかし私は、この助走こそ重要だと思います。
エフタルがなぜ魔導を諦めないのか。
なぜ「無適性」という言葉に物語上の重みがあるのか。
なぜ母イリアへの侮辱に強く反応するのか。
そして、なぜ周囲の評価と実力がここまでズレているのか。
これらを理解してから先へ進むことで、学院で常識を覆していく爽快感がさらに大きくなるからです。
『落第賢者の学院無双』1巻あらすじ・見どころまとめ
『落第賢者の学院無双』1巻は、かつて雷神皇と呼ばれるほどの大賢者になりながら、無適性ゆえ才能の壁に絶望したエフタルが、400年後へ二度目の転生を果たす物語です。スクウェア・エニックス マガジン+1
400年後では魔法文明が大きく衰退しています。
そのため、エフタルが前世で身につけた高度な魔術は未来の人々から見れば規格外です。
しかしエフタル自身は二度目の人生でも無適性。
魔法学院への進学さえ難しいと判断されます。落第賢者の学院無双 公式サイト
さらにオルコット公爵家では、母イリアとともに無適性を理由に見下され、異母兄ヨアヒムとの模擬戦へ発展します。落第賢者の学院無双 公式サイト
ここまで時系列で追うと、1巻の役割がはっきりします。
「最強賢者が未来で無双する巻」だけではありません。
なぜ最強級のエフタルが落第側へ置かれるのか。
なぜ400年後の人々には彼の本当の価値が分からないのか。
その理由を、第1話「スキル:再転生」から第3話「一族の恥さらし」までを通じて作り上げる巻です。マンガUP!
そして私が1巻でもっとも熱いと感じるのは、エフタルが「今の世界で一番強ければいい」と考えていないことです。
雷神皇になっても満足できなかった。
一度は才能の壁に敗れた。
だから400年後でも、もう一度その先へ進もうとする。
周囲から見れば最強。しかし本人にとっては、まだ挑戦者。
この矛盾こそが、エフタルという主人公を単なるチートキャラクターで終わらせない最大の魅力でしょう。
「転生無双ものはどれも似て見える」と感じている人ほど、1巻では戦闘力だけでなく、無適性・400年の時間差・評価基準のズレという3点に注目してみてください。
『落第賢者の学院無双』がなぜ「落第」と「最強」を同時に成立させられるのか、その原点がここに詰まっています!
よくある質問
『落第賢者の学院無双』1巻はどんな話ですか?
大賢者エフタルが、前世で届かなかった魔導の頂を目指すため、400年後の世界へ二度目の転生を果たす物語です。
未来では魔法文明が衰退しており、前世の魔術知識を持つエフタルは規格外の力を発揮します。一方で本人は無適性のため、400年後の社会からは魔術師向きではないと評価されます。スクウェア・エニックス マガジン+1
エフタルは無適性なのになぜ強いのですか?
エフタルは前世で魔導研究へ人生を捧げ、魔王討伐を成し遂げて「雷神皇」と呼ばれるほどの知識と実力を身につけた人物だからです。落第賢者の学院無双 公式サイト
二度目の転生でも、その知識と力を引き継いでいます。つまり「無適性=魔術を使えない」ではなく、適性という才能と、長年積み上げた技術・経験が一致していないことが重要な設定です。スクウェア・エニックス マガジン
『落第賢者の学院無双』1巻から学院編が始まりますか?
1巻は学院生活そのものより、エフタルの再転生、400年後の魔法文明、無適性による進路問題、オルコット公爵家での対立など、学院編へつながる土台を描く比重が大きい巻です。
そのため1巻は、「学院でどう無双するのか」より先に、なぜ雷神皇だったエフタルが400年後では落第側へ置かれるのかを理解するための巻と考えると分かりやすいでしょう。
トキ/熱血アニメライター

